本態性血小板血症とそれに伴う脾腫についての記録(65)

最近更新頻度減ってますが、ちゃんと生きてます。

で、今月はいつもの血液内科でした。

PLT自体は66.5万で、減少傾向…というかまぁ平常運転。

いつもだったらそれで終わりなのですが、
前回にCALRの検査を受けていたので、それの結果を聞けました。

と、ちょっとここで最近の本態性血小板血症について適当に調べてまとめてみましょうか。

自分もまだイマイチ知らなかったことが多いですし、
何より診断当初に比べて随分いろいろな事が分かってきているので、
積極的に動かないと、すぐ時代に取り残されている人になってしまいますので…。

この辺は、やっぱり先進分野の病気だなぁ、と改めて感じますが。

本態性血小板血症まわりのここ15年くらいの適当まとめ

本態性血小板血症(ET)は、骨髄増殖性腫瘍(MPN)に含まれる病気のうちのひとつで、

骨髄増殖性腫瘍は、以前は慢性骨髄増殖性疾患(MPD、cMPD)とか呼ばれていましたが、
途中でWHOでの呼び方が変わって、日本語表記も変更になりました。
正直こういうのやめて欲しいんだけど、変わったもんは仕方ないです。

MPNには、主に4つの病気があって、

白血球が増えてしまう、慢性骨髄性白血病(CML)
血小板が増えてしまう、本態性血小板血症(ET)
赤血球が増えてしまう、真性多血症(PV)
骨髄が疲弊し線維化してしまう、骨髄線維症(MF)

という感じ…なのですが、名前から見ても分かるとおり、
CMLに関しては割と別枠という扱いに(白血病の一種と)なることが多くて、
一般的にMPNと言った場合は、ET、PV、MFという3つの事を指す事も多いです。

もともと、これらの病気には骨髄移植以外で根治できる方法はなく、
出た症状に対して、対処療法という形でしか治療できませんでした。

特に、CMLは当初、無治療だと確実に急性白血病になり死に至るため、
骨髄移植以外に選択肢は無いという、とても絶望的な病気でした。

ところが、このCMLがフィラデルフィアという遺伝子での変異が原因で起こっていることが分かり、
グリベックというこれに対する阻害薬が開発されたことで状況は一変、
CMLが「治せる病気」になったというとても画期的なできごとがありました。
(ただ、グリベックが合わず、骨髄移植される方も存在はしています)

過去ログを遡れば書いてあると思いますが、自分がETだと診断されたのはこの辺りで、
この段階でも、CML以外の3つに関しては、まだ治療法が無かったのですが、
この頃から、MPNはJAK2という遺伝子の変異が原因だという報告は上がっていて、
そのため、JAK2の阻害薬ができればあるいは…という話はよく言われていました。

これが10年ちょっとくらい前の話ですかね。

その後、JAK2の阻害薬の開発が進められるのと並行して、
JAK2変異でないMPN患者さんの研究も続けられ、
他にも、原因として MPL と CALR という遺伝子変異が起こっている事が分かってきました。

 

ぐぐってみたところ、こちらの研究用のサイトに良い画像があったので拝借しますが、

まとめると、

ヤヌスキナーゼ2 遺伝子(JAK2:ジャックトゥー)
トロンボポエチン受容体 遺伝子(MPL:エムピーエル)
カルレティキュリン 遺伝子(CALR:カルアール)←と、うちの担当の先生は呼んでいた

と、それぞれ3つの遺伝子変異が原因で発症していることが分かってきて、
PV患者の場合はほぼJAK2で、ETとMF患者については半数ほどがJAK2、
残りはCALRと、ごく少数でMPLの変異がある、という感じになっているようです。

これらは、一般の病院でも病理検査を受けることによって診断がつきますが、
現段階で実際に阻害薬が開発・承認されているのはJAK2のみで、
それ以外に関しては、目下研究が進められている段階です。

JAK2阻害薬についても、ジャカビという薬が承認はされていますが、
現時点では、基本的に選択肢のない予後不良であるMFの患者さん向けで、
圧倒的多数を占めるPVでもよほどの事がない限りは処方されるケースはないようです。
ETに関してはそもそも想定されておらず、仮にJAK2変異が陽性だったとしても適用外になっています。

これは、副作用で重篤な症状が発生して死亡しているケースが報告されているため、
リスクを考慮した場合、MF以外ではあまり積極的に処方するべきではないという結論からのようです。

この手のアプローチが、あまねくJAK2変異の方に行き渡るにはもう少し時間が必要なのかもしれません。

そして、母数からすると、次に出てくるのはCALRの阻害薬になるんだろうとは思われますが、
こちらも近い将来できそう、ってニュアンスだけで、確定的な事はまだありません。

 

…と、ここまでは直接的な原因と治療法の話でしたが、
発生している症状に対する対処療法についてはどうでしょうか。

すべてのMPNの症状に対しては、以前からハイドレアという薬が使われてきました。
これは、骨髄の造血機能を抑制するようないわゆる抗がん剤に該当するもので、
白血球だろうが赤血球だろうが血小板だろうが、増えているものを押さえつけるので、
多くのMPN患者に対して効果があり、実際に処方されている方も多くいます。

CMLには既にグリベックがありますが、それの補助的な目的として、だったり、
ETやPVでは血栓予防の低用量アスピリンと併用して使われることが多いようです。

このハイドレア、一応抗がん剤ではあるものの、割と大人しめの薬で、
世間一般でいう抗がん剤のイメージほど副作用も少ないため、
MPNの多数派であるところの60歳以上の方には結構積極的に使われています。

これ、逆に言うと、若年層の患者に対しては慎重に検討する必要があるという話で、
以前から長期連用時の急性白血病への転化リスクが上昇するのではとも言われていました。

そのため、MPNとして重度かつ若年だった場合に、どういう治療方針とするのかについて、
以前は、血液内科での担当の先生の裁量によるところが大きく、なかなか難しい事もありました。

最近では、前出のJAK2阻害薬が出てきた事もありますし、
ETに関しては、MPN患者会さんの頑張りもあり、
アグリリンという血小板減少薬が承認されまして、
リスクを考慮しながらハイドレア以外の選択肢も選べるようになってきました。

まだまだ「これから」の病気ではありますが、着実に進歩は感じられているかなとは思います。

 

…で、CALR検査の結果

とまぁ、長々と書いてしまいましたが、結局のところ、予備知識が無い状態だと、
以下を読んでも何を言っているのかサッパリ分からないと思われるので、
面倒くさいけど一応先にいろいろ書かせていただきました。

前回外来で通院した時に、CALRの検査を受けていまして、
今回はその結果を無事聞くことができました。

プリントアウトしてもらってきたので、せっかくだからそのまま見てみましょうか。

もちろん、個人情報に関わるところは伏せさせていただきました。
今流行りの黒塗りでw

で、てっきりCALRだけの検査かと思ってたら、MPNよくばりセットになってました。
だからあんな値段が高かったのか…。JAK2が陰性なのは既に分かってたのに…。


こちらがMPL。

で、こちらがCALRとJAK2ですね。

「野生型」というのはあまり聞き慣れない言葉ですが、
遺伝子系の学科では割と一般的な言葉らしく、

言葉通り「そこら辺に生息しているありふれた野生のヒトの遺伝子」という事ですね。
紙にも書いてありますが、そうでない場合が「変異型」となります。

つまり、自分の場合は、

JAK2 → 野生型(遺伝子変異:陰性)
CALR → 野生型(遺伝子変異:陰性)
MPL → 野生型(遺伝子変異:陰性)

…ん? という事は…

ココって事じゃねーかマジか!!

いやー、まさかといった感じですが、AでもBでもCでもない、
専門的にいう、トリプルネガティブというやつらしいですよ。

「じゃあ何で血小板が増えてるんだろうね?」

とは、担当の先生の談ですが、いやこっちが聞きたいんですが(笑

まぁ、結局のところ現段階で薬があるわけではないので、
どこの変異だろうが、変異が全く無かろうが、その辺はあまり変わらないですけどね。

それでも、将来的に薬ができて寛解できる目が消えたという点では、
残念無念と言ってもいいのかもしれません。
(たぶん今から原因が分かって薬ができて…ってなると、
その頃にはもう寿命で死んでそう…笑)

ちなみに、必ずしも悪いことばかりでもなく、
確か、遺伝子変異が無い人の方が、遺伝子変異がある人に比べて、
血栓症などは起こりにくいのではないか…とも言われていた気がしますので、
実際のところいい事なのか悪いことなのか何とも言えなかったりします。

つってもまぁこれも難聴や耳鳴りが実際に起こってる時点で怪しいもんですが。

というわけで、結局これからも何も変わらず通院する日が続きそうです。

4 Responses to 本態性血小板血症とそれに伴う脾腫についての記録(65)

  1.  

    はじめまして。2017年8月にjak2変異ありのETと診断されてから、ずっと拝見しています。診断当時50万だったのが、昨日の血液検査で80万に増えていました。私の担当医は80万超えたらすぐハイドレアを使う方針なのですが、方針に違和感を感じてます。私は36歳女性で、この年齢と数値でハイドレアを使うにはまだ早い気がしています。。血栓のリスクより長期服用のリスクの方が高いと思うからです。。白血病転化が怖いんです。それに医師は前回、多分60万からずーっと増えないタイプじゃないかな〜〜と楽観的予想を言ってた矢先にこれです。。さらに、ハイドレアは全然何のリスクも副作用もない薬だと説明されました。信じられないです。。ご参考までどう思われますか?(T_T)
    余談ですが生命保険会社の人に、この病気で一時金請求してくるのは出産後の30代女性がよくいると言われました。私が正に産後1,2年なので、原因不明とはいえ関連あるのかなと思いました。カワセミさんは違いますけど。^ ^
    長文失礼しました。

  2. こんにちは。コメントありがとうございます。

    なるほど、いろいろ大変な状況のようで…。
    確かに、80万くらいの中程度の症状の場合は、
    治療方針の判断もなかなか難しいような気はしますね。
    60万なら経過観察かアスピリンで、となりますし、
    100万超えてれば、もちろんハイドレアもそうですし、
    場合によってはアグリリンを試させてもらえるかもしれませんが…。

    自分も、それくらいの年齢で80万付近をウロウロしてた時期がありましたが、
    それは元が120万くらいあって、そこから下がってって感じでしたので、
    また100万超えたら考えようとは言われてましたが、
    その時点でハイドレア適用だ、とはならなかったですね。

    なので、ひょっとしたらその時点での絶対的な数値だけではなく、
    継続的な傾向を見て判断されている可能性もあるのかもしれません。
    100万以内を目標にコントロールというのは
    どこでも共通している感じだと思いますので、
    あまりにも短期間での増加傾向だと、
    先手を打っておく必要があると考えてそういう判断をされる事もあるかもしれませんし…。

    確かに、ハイドレアは副作用で困っている話を聞く事は少ないですが、
    じゃあ全く無いのかと言われるとそういうわけでもないので、
    なかなか判断が難しいところだとは思いますが、
    短期間の服用で生死に関わる重篤な副作用は特にないと思いますし、
    もし何かあれば服用を中止する事も可能ですので。
    (当然ながら中止すると減った値はすぐ戻ってしまいますが…)

    もちろん、不安な状態のまま受け入れる必要は全く無いので、
    例えば、100万行くまで保留してもらう事は可能ですか?と提案してみたり、
    その判断についてセカンドオピニオンを検討してみるのもアリなのかもしれません。
    と言っても、これらは自分の個人的な感想で、
    血液内科の先生よりも確実に正しいとは全然思っていませんが…。

    あと、60代以降の次になぜか30代女性に多い事はよく聞きますね。
    妊娠時の血液検査で初めて見つかる方もそこそこ居られるようなのですが、
    そのままでも出産までの間だけ、なぜかPLTが下がる傾向があるらしく、
    そして出産後になるとまた上昇する(元に戻る)、って話は聞いたことがあります。

    まぁそれと一時金の話が繋がるのかは不明ですけどね。

     
  3.  

    こんばんは、丁寧なコメントをいただきありがとうございました。他にこの病気の人に会ったこともなく、相談するとか誰かと分かち合うことがないためとても嬉しかったです。
    私は血小板だけでなく白血球数も正常より少し増えたので、いろんな理由から薬を勧められたのかもしれないと気づきました。先生には、全然大したことない病気だと軽く扱われてるのですが、遠慮しないで、不安を解消してみます。やっぱりリスク怖いから。。私は検査に行って、前回より増えてるとドキッとします。数ヶ月呑普通に暮らしてたところに定期的に冷や水を浴びる気分です。未来は読めないけど、今は元気で生きている、今生きてることを大事にしなきゃ、と思い出します。こんな気持ちで今を生きるのは、不安だけど、年取ってから人生をごっそり後悔するよりマシだと思うようにしました。カワセミさんは安定していますが不安はありますか?もし失礼でしたらすみません。。
    私は、追ってみると妊娠前はずっと30~35万、妊娠時40万、産後50万…ですが、50万になるまでは、血の濃い体質だろうと診察で流されたり、健康診断でも1度も指摘されませんでした。増えなければ高めの体質で済んだんですね…orz 考えても仕方ないけど、いつの何が原因だったんだろうと時々考えてしまいます。

  4. うーんまぁ、原因も何も、JAK2が陽性という話でもありますし、
    変な話、本当にたまたまというか、巡り会わせというか、
    実際、白血病をはじめとした血液の疾患の多くに言えることですけど…。

    道端を歩いていて、100円拾う人もいれば、
    犬のウンコを踏んづけてしまう人もいるわけで、
    人生なんてそんなもんなのかもしれません。

    確実に言えることは、そういういろんな人生を送る方々がいたとしても、
    死というのは全く平等であり、多少の早い遅いはあるものの、
    世の中に死なない人なんていないわけですね。
    だったら、せっかくの人生、クヨクヨウジウジして過ごすよりも、
    好きな事やって楽しく過ごしたほうがいいよなぁ、

    …と、考えるようにしてから現在に至ります(笑

    ただ、自分の時は骨髄穿刺の結果次第でETではなくCMLという可能性もあったので、
    それの結果を知るまではやっぱり不安はありましたけどね。
    ただ、その時も確定するまでは担当の先生は詳細を教えてくれなかったですし、
    僅かな可能性をピックアップして変に不安を煽るような事は何も言われなかったので、
    血液内科では一般的にそういうもんなのかもしれませんね…。

     

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